2025/03/20 18:17



犬がチョコレートを食べてはいけない理由は、チョコレートに含まれるテオブロミン(theobromine)という成分が犬にとって毒性を持つためです。


1. テオブロミンの特性


テオブロミンは、カカオ豆に自然に含まれるアルカロイドの一種で、チョコレートの苦味の元となる成分です。


人間にとってはカフェインに似た軽い刺激作用があり、代謝も比較的速やかに行われます。

しかし、犬の体内ではテオブロミンを分解する酵素の働きが非常に遅く、

体内に長時間残ってしまうのです。

このため、少量でも中毒症状を引き起こす可能性があります。


2. 犬に与える影響


テオブロミンが犬の体内に蓄積すると、以下のような症状が現れることがあります。


  • 中枢神経系への影響:興奮、不安、震え、発作

  • 心臓への影響:心拍数の増加、不整脈

  • 消化器系への影響:嘔吐、下痢

  • その他:過度な喉の渇き、呼吸困難、体温上昇

重症化すると、昏睡状態に陥ったり、最悪の場合は死に至ることもあります。


3. 毒性の強さとチョコレートの種類


テオブロミンの含有量はチョコレートの種類によって異なります。一般的には、カカオ含有量が多いほどテオブロミンの量も多く、犬にとって危険度が高まります

  • ダークチョコレートビターチョコレート
  • :テオブロミン含有量が非常に多い(約130-450mg/オンス)。

  • ミルクチョコレート:中程度の含有量(約44-58mg/オンス)。

  • ホワイトチョコレート:テオブロミンはほとんど含まれないが、脂肪や糖分が多く別の問題を引き起こす可能性あり。

例えば、小型犬(体重5kg程度)がダークチョコレートを50g食べた場合、致死量に達する可能性があります。


4. 犬種や個体差


犬の体重や健康状態、年齢によってもテオブロミンへの耐性が異なります。小型犬や子犬、老犬は特に影響を受けやすい傾向があります。


5. 対処法

もし犬がチョコレートを食べてしまったら:

  • 食べた量と種類(ミルク、ダークなど)を確認する。

  • すぐに獣医師に連絡し、指示を仰ぐ。

  • 獣医師の判断によっては、嘔吐を誘発したり、活性炭を使って毒素の吸収を抑える治療が行われることがあります。

結論

犬がチョコレートを食べてはいけないのは、テオブロミンが犬の代謝能力を超えて毒性を発揮し、深刻な健康被害を引き起こすからです。人間にとっては美味しいおやつでも、犬には絶対に与えないように注意が必要です。